はじめに

肝臓癌の腫瘍マーカーには、2つの有名なものがあります。それは、AFPとPIVKA-Ⅱです。

この記事ではAFPとPIVKA-Ⅱについて説明します。

AFP

AFPとは、α-フェトプロテイン(α-fetoprotein)のことです。

AFPの基準値は20以下です。

AFPが上昇する病気

AFPが上昇する病気には次のようなものがあります。

  • 肝細胞癌
  • 転移性肝癌
  • 肝芽腫
  • yolk sac tumor

AFPという名前の由来と意味

AFPはα-fetoproteinの略です。

fetoproteinのfetoは、fetusからきています。

fetusは英語ですが、日本語に訳すと胎児という意味になります。

proteinはプロテインで、タンパク質のことです。

実はAFPは、胎児期に肝臓でつくられるタンパク質なのです。

出生とAFP

AFPは胎児期に肝臓で作られます。しかし、生まれてからはAFPは作られなくなります。

出生後にAFPが血中で増えるということは、胎児期の細胞が活発に活動を再開したこと、すなわち、肝臓において何らかの異常が起こっていることを示しています。

PIVKA-Ⅱ

PIVKA-Ⅱとは、ビタミンKが足りないことが原因で凝固因子Ⅱになれなかった前駆体のことです。

凝固因子Ⅱはプロトロンビンです。

では、そもそも凝固因子とは、何でしょうか。

凝固因子とは

凝固因子は、血管が傷ついて血がでたときに、出血を止める働きをしています。

凝固因子は12種類あります。2の番号がついている凝固因子が凝固因子Ⅱで、プロトロンビンとも呼ばれています。

プロトロンビンとは

プロトロンビンは、リン脂質によって活性化されトロンビンになります。トロンビンとは、出血を止めるために血液が固まるときに必要な酵素のことです。

プロトロンビンは肝臓で作られます。このときに必要なのがビタミンKです。

PIVKA-Ⅱが上昇する病気

PIVKA-Ⅱが上昇する病気には、次のようなものがあります。

  • 肝細胞癌
  • ビタミンK欠乏状態
  • ワルファリン投与時
  • 広域スペクトラムの抗菌薬投与時
PIVKA-Ⅱと抗菌薬

ビタミンKが代謝されるためには、腸内細菌の働きが必要です。

幅広い細菌に効果がある抗菌薬を広域スペクトラムの抗菌薬といいます。

このような抗菌薬を使うと、腸内細菌が一掃されてしまいます。

その結果、ビタミンKが上手く代謝されなくなり、ビタミンK欠乏に陥ります。

PIVKA-Ⅱとワルファリン

ワルファリンはビタミンKの代謝を邪魔します。

ワルファリンは血液をサラサラにする薬の1つです。

ワルファリンの働きでビタミンKの作用が阻害されます。その結果、プロトロンビンが作られなくなり、止血作用をもつトロンビンも作られなくなり、血液がさらさらになります。

ワルファリンはビタミンKの働きを邪魔するため、プロトロンビンが作られなくなり、その結果、前駆体であるPIVKA-Ⅱが上昇します。

PIVKA-Ⅱの上昇をみたら原因を考える

PIVKA-Ⅱはいろいろなことが原因で上昇します。

PIVKA-Ⅱが上昇していても、肝細胞癌とすぐに決めつけないことが大事です。

PIVKA-Ⅱは、抗菌薬やワルファリンの投与が原因で上昇するからです。

これらの原因がない場合に、肝細胞癌の可能性を考えるようにします。

まとめ

肝癌で上昇する腫瘍マーカーに、AFPとPIVKA-Ⅱがあります。

AFPは肝細胞癌、転移性肝癌、肝芽腫、yolk sac tumorで上昇します。

PIVKA-Ⅱは肝細胞癌、ビタミンK欠乏状態、ワルファリン投与、広域スペクトラム抗菌薬投与が原因で上昇します。

腫瘍マーカーが上昇しているのは腫瘍が原因とは限らないので、抗菌薬やワルファリンなどの薬物の使用がないかなどを確認することが大事です。

 

 

 

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