長い間、お酒を飲み過ぎると肝臓を悪くします。お酒の成分の中でも特にアルコールが肝臓に悪さをします。このように、お酒が原因で起こる肝障害をアルコール性肝障害といいます。

アルコール性肝障害はとても広い概念です。軽いものから重いものまで、さまざまな段階の肝臓の病気を含んでいます。具体的には、脂肪肝にはじまり、肝炎、肝繊維症、肝硬変、肝癌に至るまでのすべてがアルコール性肝障害という病気で表現されます。

病状の程度としては、上に書いた順で病気が重いと考えていいです。つまり、脂肪肝が一番初期の段階であり、続いて肝炎になり、肝繊維症に至り、肝硬変にまで進行し、そこに肝癌が発生します。

脂肪肝は、お酒の飲み過ぎで最初に起こる肝臓の病気です。腹部超音波検査で見つけることができます。脂肪肝は、腹部超音波検査で正常な肝臓よりも白く映ります。具体的には、腎臓の色と肝臓の色を比べて、肝臓の方が明らかに白ければ脂肪肝であると考えられます。

出典:医学豆知識-肝臓専門医に聞く 肝臓Q&A|東栄病院

超音波検査などの画像検査を行うことで脂肪肝を発見することができます。自覚症状はないため、症状からは脂肪肝であると気づくことはできません。また、血液検査も異常がないことがあります。

肝炎では、血液検査の結果、AST、ALTという項目の値が高くなります。これらは肝細胞が破壊されると血液中に漏れ出すものです。ですから、血液検査でAST、ALTが高い場合、肝細胞が傷害されていると判断できます。

肝繊維症は、肝炎と肝硬変の間の病態です。肝硬変というほどには肝臓が硬くなってはいないけれども、肝臓の線維化が少し進み、肝細胞の働きが悪くなったり、肝臓に血液を届けている門脈という血管の圧力が高くなり始めている状態です。この状態からさらに肝臓の線維化が進むと肝硬変になります。

肝硬変は、肝臓の病気の成れの果てです。肝細胞が長い間続く炎症、障害の結果、線維組織に置き換わり、肝臓が硬くなり、働きが著しく悪くなった状態です。肝炎はもとに戻りますが、肝硬変はもとに戻らないと言われています。肝硬変の初期にははっきりとした症状がでないことがあります。肝硬変がさらに進行すると、両足がむくんだり、腹水がたまったり、食道にできた静脈瘤が破裂して血を吐いたりします。また、肝硬変があると肝癌ができやすいです。

肝癌は、肝硬変を背景にして出現します。アルコールが原因で肝臓を悪くした結果、肝臓に起こった癌ということで、この記事では、肝癌をアルコール性肝障害に含めました。アルコール性脂肪肝、アルコール性脂肪肝炎、アルコール性肝繊維症、アルコール性肝硬変という呼び方はありますが、一般的にはアルコール性肝癌やアルコール性肝細胞癌という呼び方はしません。ですから、肝癌をアルコール性肝障害に含めることに違和感を感じる人もいるかもしれませんので、注意が必要です。