通常、肝臓癌は、肝炎が長く続いたあとに肝硬変になった肝臓からでてきます。

しかし、B型肝炎の場合、肝炎や肝硬変のない肝臓からも突然、癌ができることがあります。

B型肝炎の治療薬にはエンテカビルやテノホビルなどの核酸アナログというものがあります。この薬はB型肝炎ウイルスが増えるのを抑えます。そのため、肝炎を発症するのを予防できます。

核酸アナログを内服し、肝炎が起こっていなくて肝硬変にもなっていない肝臓からときどき肝臓癌が出現することがあるのがB型肝炎の特徴です。また、このような肝臓癌は大きくなるスピードも速く、厄介なものです。

2017年の10月12日から15日にかけて、消化器の病気に関連した学会が集まる催しが開かれました。そこで、核酸アナログを内服中のB型肝炎の方が肝臓癌になるのに関係している要因がないかを調べた研究が発表されました。その研究では、血液検査で調べることができる項目である平均赤血球容積(MCV)が核酸アナログ投与中の肝臓癌の発現に関連しているのではないかと言われていました。

平均赤血球容積は、MCVとも表現されます。

MCVは、Mean Corpuscular Volumeの略です。Meanは平均、Curpusclarは血球の、Volumeは容積です。

これは赤血球1個の容積を表すための数字ですが、赤血球の大きさは個々のものによっていろいろです。ですから、平均値で赤血球1個の容積を表現しています。

この平均赤血球容積が大きいほど、核酸アナログ投与中のB型慢性肝炎の患者さんの発癌多かったという結果だったようです。

平均赤血球容積は、血液検査で血算という項目を調べると測定されます。血算は、貧血の値や体の炎症などを示す値である白血球数を確認するときに調べる基本的な検査です。

B型慢性肝炎で外来に通院中の方では、定期外来で調べてもらうことができます。

私の病院ではB型慢性肝炎で核酸アナログを内服している患者さんには、ASTやALTなどの肝炎の値が落ち着いていれば3か月に1回、病院に来ていただいています。核酸アナログの処方が90日分しか出せないため、それ以上の間隔をあけることはできません。また、突然の発癌が心配なため、腫瘍マーカーの血液検査や腹部超音波検査での肝臓の精査を行う必要があるためです。

今回の結果がでたことによって、MCVの値が高いB型肝炎の患者さんの腹部超音波検査を頻繁にするということにはすぐにはつながりません。

しかし、今後、さらなる解明が進み、B型肝炎からの発癌に関わる要因の解明につながることが期待されます。

 

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