A型肝炎とは

A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)に感染することが原因で起こる肝炎で、一過性の感染症です。

A型肝炎ウイルスは経口的に感染し、主に肝臓で増えて肝臓の炎症、すなわち肝炎を起こします。

一般に肝炎ときくとお酒を飲み過ぎた人がなるイメージがあります。しかし、A型肝炎はA型肝炎ウイルスに感染することが原因で起こる肝炎です。ですから、お酒は関係ありません。

A型肝炎の原因

A型肝炎が起こる原因は、A型肝炎ウイルスに感染することです。

A型肝炎ウイルスは、衛生状態の悪い土地の生水や氷、野菜、果物、カキなどを代表とする生の魚介類などを介して口の中に侵入し、消化管から体内に吸収されて肝臓に到達し、肝細胞に取り込まれ、肝炎を引き起こします。

A型肝炎ウイルスは口から体内に入り込む

A型肝炎ウイルスは感染者の便の中に排泄されます。それが他の人の口から体内に入り込むと感染します。

カキなどの生の魚介類や衛生状態が悪い地域の水の中にA型肝炎ウイルスは存在します。ですから、これらの食べ物や飲み物を飲食するとA型肝炎ウイルスに感染します。

このため、A型肝炎ウイルスは発展途上国で蔓延していますが、先進国では少ないです。先進国では上下水道がしっかりと整備されていて、清潔な状態が保たれているからです。

A型肝炎は性行為でも感染する

A型肝炎ウイルスは、感染した人の便から体の外に出されます。A型肝炎ウイルスに感染した人の便の中には、A型肝炎ウイルスがいるということです。このA型肝炎ウイルスを含む便が何らかの経路で誰かの口から体内に入り込むと、A型肝炎ウイルスがうつります。このような感染の形式を糞口感染といいます。

ですから、性行為の中でも、特に肛門をなめる行為であるリミングをすると感染することがあります。

A型肝炎ウイルスの潜伏期間

A型肝炎ウイルスの潜伏期間は、2~7週間です。

A型肝炎ウイルスに感染してから早ければ2週間、遅い場合には7週間たってから、急は発熱、全身のだるさ、食欲不振、嘔気、嘔吐、黄疸などの症状がでます。

たとえば、白眼や皮膚が急に黄色くなったり、おしっこが黄色くなったりといった黄疸の症状が出た場合、その原因が7週間前の海外旅行であるという可能性が考えられうるわけです。

このように、A型肝炎は潜伏期間はざっくりというと数週間程度です。

A型肝炎の症状

A型肝炎では、発熱、体のだるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸などの症状がみられます。

これらはA型肝炎に限らず、急性肝炎では一般的にみられる症状です。

A型肝炎ではいわゆる急性肝炎の症状がみられます。A型肝炎だけにみられる肝炎の症状というのはありません。

A型肝炎の症状は大人と子供で違う

小さな子供達は、A型肝炎ウイルスに感染したとしても、肝炎の典型的な症状である黄疸などを認めないことがあります。このように、子供は知らないうちにA型肝炎ウイルスに感染して、気が付かないうちに治り、抗体がついていることがあります。このように症状が出ない感染のことを不顕性感染といいます。

大人はA型肝炎ウイルスに感染して急性A型肝炎になると、黄疸、嘔気、食欲不振、倦怠感などの肝炎に典型的な症状を認めることが多いです。

このように、子供のA型肝炎の症状はほとんどないか軽いですが、大人は症状が重くなることが多いです。

A型肝炎を調べる血液検査

A型肝炎は血液検査で診断することができます。血中のIgM-HAV抗体を調べ、それが陽性であれば急性A型肝炎と診断されます。

A型肝炎の治療

A型肝炎になってすぐ、血液検査で肝炎が起こっていることが確認されている最中は、入院して安静にしていることが最も有効な治療です。

A型肝炎は治る病気

A型肝炎は一過性の感染症であり、治る病気です。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは急性肝炎を引き起こしたあと、弱い炎症が長く続く肝炎である慢性肝炎に移行することがあります。しかし、A型肝炎は急性肝炎の時期を乗り越えれば慢性肝炎に移行することは稀です。つまり、A型肝炎は完全に治る病気です。

A型肝炎ウイルスに対する抗体

A型肝炎ウイルスに一度感染すると、抗体ができます。この抗体をHAV抗体といいます。これは便の中のHAVウイルスが陰性になるとともに、血液中に出現します。

A型肝炎の予防には手洗いが役立つ

A型肝炎ウイルスに感染することを予防するには、手洗いをよくすることが大事です。

A型肝炎ウイルスは、感染した人の便とともに体の外に排泄されます。この便が何らかのかたちで他の人の口の中に入り込むことで、A型肝炎ウイルスは感染するからです。

トイレのドアノブなどに付着したA型肝炎ウイルスを触ってしまい、それが手についてしまったとしても、手洗いをして洗い流すことができれば体内に取り込んでしまうのを避けることができます。

このように、A型肝炎になるのを防ぐには手洗いをよくするのがおすすめです。

手洗いをするのにとくにおすすめのタイミングは、トイレに行った後、食事をする前、料理を作る前、おむつ替えをした後です。

このようなことを行うときに便に触れる、あるいは便を口の中に取り込んでしまう機会が多いからです。

A型肝炎のワクチンによる予防接種

A型肝炎はワクチンを接種することで予防することができます。日本では、エイムゲンというワクチンが発売されています。

エイムゲンの「エイ」は、A型肝炎の「A」です。ちなみに、ビームゲンというワクチンもあり、これはB型肝炎のワクチンです。

エイムゲンの投与方法

エイムゲンは3回接種するワクチンです。1度目の接種をした2~4週間後に2度目の接種をし、さらに1度目の接種の半年後に3度目の接種をします。

エイムゲンのA型肝炎ウイルス感染を予防する効果

エイムゲンを決められた手順通りに3回接種することにより、約5年間、A型肝炎に対する免疫を獲得できます。

A型肝炎に対する免疫血清グロブリンの投与は日本では推奨されていない

A型肝炎ウイルスに対抗する手段の一つに、ISG(免疫血清グロブリン)があります。

自分の免疫がしっかりと機能し、ウイルスをやっつける力をつけ始めるまでには時間がかかります。そのため、早い段階で借り物の免疫であるISGを投与することでA型肝炎ウイルスに対抗することができます。

具体的には、A型肝炎ウイルスが体内に入り込んでから2週間以内にISGを使ったとすると、8割から9割程度、A型肝炎を発病するのを防ぐことができます。

しかし、日本ではA型肝炎に対してISGを投与することは推奨されていません。その理由は、日本人のA型肝炎ウイルスに対する抗体を持っている人の割合が少ないため、献血で提供された血液からA型肝炎ウイルスに対する抗体を充分な量、作ることができないからです。

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