肝硬変は「肝臓が硬く変わる」と書きます。

では、どうして肝臓は硬くなってしまうのでしょうか。

慢性の肝炎や肝障害があると肝臓の組織がダメージを受けます。このように、長い間、肝臓の組織が傷害を受け続けると、次第に肝臓は硬くなってきます。この状態を肝硬変といいます。

文字をたくさん書きすぎた結果、できるペンだこの例を考えてみましょう。

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ペンだこは、鉛筆やペンを持つ際に、指に圧力がかかることが原因でできます。少し文字を書くだけではこのようになりません。しかし、受験生のように非常に長い間繰り返し鉛筆をもつことで、圧力がかかり続けると、次第にその部分が硬くなってきます。これがペンだこです。

肝臓においても同じようなことがおこります。少しの間、肝炎や肝障害が起こるだけでは肝臓は硬くはならず、肝硬変にはなりません。しかし、とても長い期間、肝臓に炎症が続き、肝臓を構成する細胞である肝細胞が破壊されては修復されてという状態を繰り返していると、やがて肝臓が繊維化をおこします。この結果、起こってくるのが肝硬変です。

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では、このように肝硬変を引き起こしうる慢性の肝炎や肝障害には、具体的にどのようなものがあるのかをみていきましょう。

  • ウイルス感染の持続
  • アルコールの飲み過ぎ
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 自己免疫の異常が原因で起こる病気
    • 原発性胆汁性胆管炎
    • 原発性硬化性胆管炎
    • 自己免疫性肝炎
  • さまざまな遺伝性疾患
    • α1-アンチトリプシン欠乏症
    • Wilson病
    • ヘモクロマトーシス
    • 糖原病
    • ムコ多糖症
    • チロシン血症
    • オキシフェニサチン
    • α-メチルドパ
    • メトトレキサート
    • アミオダロン
    • ニトロフラントイン
    • ビタミンA過剰
  • 中毒
    • 四塩化炭素
    • DEN
  • 感染症
    • 梅毒
    • 住血吸虫症
  • サルコイドーシス
  • 移植片対宿主病
  • Budd-Chiari症候群
  • 慢性うっ血性心不全
  • 二次性胆道閉塞

このように、慢性の肝障害を引き起こす原因にはたくさんのものがあります。

しかし、実際に私が病院で診療している肝硬変の原因を考えてみると、ある程度の数に絞ることができます。それは、具体的には、次のようなものになります。

  • C型肝炎ウイルス感染
  • B型肝炎ウイルス感染
  • アルコール多飲
  • 自己免疫性肝炎
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 肥満や糖尿病に伴う非アルコール性脂肪性肝疾患

実は、これらの病気の多くは早く発見し、早く対処することで、肝炎から肝繊維症、肝硬変に進行するのを防ぐことができ、肝臓癌による死を回避できます。

C型肝炎は飲み薬で治る時代になりました。

B型肝炎はほとんどの場合、飲み薬でウイルスの活動性を抑えることができ、肝炎を鎮めることができます。

アルコール多飲による肝障害は、禁酒するしかありませんが、禁酒したいという意思のある方にはいろいろなサポートができます。

自己免疫性肝炎の多くはステロイド薬を飲むことで炎症をおさえることができます。

原発性胆汁性胆管炎は早期にウルソデオキシコール酸という薬を飲むことで、少しでも病状の増悪をおさえることが大切です。

肥満や糖尿病に伴う非アルコール性脂肪性肝疾患は、近年、非常に注目されており、無視できない疾患になっています。食生活改善、体重コントロールにより、肝炎の持続を防止し、肝硬変への進展を阻止することが大切です。