はじめに

肝臓が悪くなり、機能しなくなってきたときの最後の手段に肝移植があります。

この記事では肝移植についてのQ&Aをまとめます。

肝移植って何?

肝移植は、他に治療法がない病気の肝臓を、別の人から取り出した健康な肝臓と取り替えるという治療法です。それまでは末期肝疾患で歩くことも出来なかった患者さんが、新しい肝臓によって日常生活を問題なく送り、社会復帰することが出来るようになる非常に強力な治療法です。

肝移植のドナーとレシピエントって何?

肝移植において肝臓をあげる人がドナーです。肝臓をもらう人はレシピエントといいます。

血液型あわないと肝移植はできないの?

輸血でも血液型があっていることが大事なように、肝移植でも血液型の相性が大事です。

血液型の相性が悪いのに移植をしてしまうと拒絶反応が起こります。

実際、血液型の相性が悪い場合の移植は以前は行ってはいけないこととされていました。現在でも、普通は血液型の相性が悪い場合は肝移植をしない場合が多いです。

ただし、一部の病院では、ABO血液型が合わない場合の肝移植も行われています。慶應義塾大学医学部の肝胆膵・移植班の門脈注入療法が有名です。

肝移植が適応となる病気は?

肝移植が適応となる病気には、

  • 胆道閉鎖症
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 先天性代謝異常症
  • 肝静脈血栓症(Budd-Chiari症候群)
  • 原発性硬化性胆管炎
  • 肝細胞癌
  • B型肝炎、C型肝炎が原因で起こった肝硬変
  • アルコール性肝硬変
  • 非アルコール性脂肪肝炎
  • 劇症肝炎

などがあります。

肝移植が行われるタイミングは?

肝移植が行われるタイミングは、肝障害が進んで日常生活に支障がでるようになったときです。

肝移植が行われるときの肝機能の目安は?

肝移植が行われるのは日常生活に支障がでるほどに肝機能が悪くなったときです。具体的には、Child-Pugh分類でBまたはC、MELDスコアで15から25の肝機能であることが肝移植の適応の目安になります。

肝移植には種類があるの?

肝移植には、生体部分肝移植と脳死肝移植の2種類があります。

生体部分肝移植とは何ですか?

生体部分肝移植とは、生きている健康な人の肝臓の一部分を手術で切り取り、肝臓が悪くなった患者さんに移植することをいいます。この場合、肝臓をあげる人と肝臓をもらう人の二人が同時に手術を受けます。

脳死肝移植とは何ですか?

脳死肝移植とは、脳死した人の肝臓を患者さんへ移植することです。

生体部分肝移植においてドナーとなる条件は?

生体部分肝移植でドナーとなるには条件があります。それは、以下のものです。

  • 強制されたわけではなく、自分の意志で肝臓の提供を申し出る
  • 6親等以内の血族、3親等以内の姻族である
  • 65歳程度までの成人
  • 投薬などの治療をされておらず健康である
  • 肝炎ウイルス感染などがない
  • 悪性腫瘍が最近の既往も含めてない
  • 予測される移植肝の大きさがレシピエントの体重の0.7%程度以上で、かつドナーに残る肝臓がその摘出前の大きさの3割以上となる

生体部分肝移植でドナーとなれない状態は?

生体部分肝移植でドナーになれない状態には、次のようなものがあります。

  • 全身に影響がでるような感染症にかかっている
  • HIVに感染している
  • B型肝炎に感染している
  • 癌がある
  • 肝臓が悪い

肝移植の歴史は?

肝移植の歴史について、西暦と出来事をまとめると、下記のようになります。

1963 アメリカで初の臨床肝移植
1967 初の成功例
1979 サイクロスポリンの使用
1983 米国での脳死肝移植の認知
1986 米国での臓器移植斡旋機関UNOS設立
1988 ブラジルで世界初の生体肝移植
1989 世界初の生体肝移植成功
1989 日本での初の生体肝移植
1997 日本での臓器移植法施行
1999 日本での初の法律下脳死肝移植
2010 臓器移植法改正