次々にC型肝炎の新しい治療薬が作られています。

2017年9月にはマヴィレット(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル)という薬がでました。

C型肝炎ウイルスには1型や2型などの型があり、これをジェノタイプといいます。

ジェノタイプは1型から6型まであります。

日本のC型肝炎ウイルス感染者の97%は、ジェノタイプ1型か2型のどちらかに該当します。

マヴィレットより前に発売されたC型肝炎の治療薬を選ぶ際には、このようなC型肝炎ウイルスのジェノタイプについて考え、それによってどの薬を使うかを決めていました。

マヴィレットには、すごい点が3つあります。

  1. 1型~6型まであるC型肝炎ウイルスのジェノタイプのすべてに使うことができる
  2. 腎臓が悪くても使える
  3. 一部のC型肝炎では薬の投与期間が8週間で済む

今回、このように優れた薬であるマヴィレットについて、その特徴をご紹介します。

マヴィレットの利点

  1. 前述のように、マヴィレットは全てのジェノタイプのC型肝炎ウイルスに対して使うことができます。このことを、マヴィレットはパンジェノタイプの治療薬であると表現します。
  2. C型肝炎の治療でマヴィレットを使う場合、投与期間が8週間で済みます。ただし、代償性肝硬変に対してマヴィレットを使う場合は12週間の治療期間となります。
  3. 透析患者さんを含む、腎臓が悪い人にも使うことができます
  4. リバビリンという薬を併用しなくていいです。そのため、腎障害や貧血を合併している人でも抗ウイルス治療ができます。(ジェノタイプ2型のC型肝炎に対しては、これまではリバビリンを併用していました。)

マヴィレットの飲み方

マヴィレットは1回3錠を1日1回、食後に飲みます。

マヴィレットを飲む期間

C型肝炎ウイルスの排除のためにマヴィレットを飲む期間は、ウイルスのジェノタイプの違いや肝炎であるか肝硬変であるかによって8週間か12週間のどちらかになります。

ジェノタイプ1(セログループ1)またはジェノタイプ2(セログループ2)のC型慢性肝炎の場合、マヴィレットを飲む期間は8週間です。ただし、C型慢性肝炎に対するこれまでの治療歴を考慮し、薬を12週間飲むこともあります。

ジェノタイプ1(セログループ1)またはジェノタイプ2(セログループ2)のC型代償性肝硬変の場合、マヴィレットを飲む期間は12週間になります。

ジェノタイプ1と2以外のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変の場合、マヴィレットを飲む期間は12週間になります。

マヴィレットの有効率

マヴィレットの臨床試験について説明します。

肝硬変にまで至っておらず、他のC型肝炎ウイルスの直接作用型抗ウイルス薬を使ったことのない、ジェノタイプ1型と2型のC型肝炎ウイルスに感染した日本人229人がマヴィレットを8週間内服したところ、3人を除く226人でC型肝炎ウイルスが排除されました。

229人中、226人に効いたということですので、99%の人に効いたということになります。

以前に他の直接作用型高ウイルス薬を使ってC型肝炎ウイルスを排除することができなかった33人の人にマヴィレットを使った臨床試験では、2人を除く31人の人でウイルスが排除されました。

33人中、31人ですので、94%の人にマヴィレットが有効であったということになります。

このようにマヴィレットはとても高い有効率をもっています。

マヴィレットの副作用

一般的にC型肝炎ウイルスの治療薬である直接作用型抗ウイルス薬は、副作用が少ないです。

マヴィレットを飲むことででた可能性がある副作用に、痒み、頭痛、だるさ、血液検査でのビリルビンの上昇がありました。しかし、いずれも頻度は少なく、5%以下でした。

腎臓が悪い人のC型肝炎ウイルス感染症の治療は重要

C型肝炎ウイルス感染があり、かつ腎臓が慢性的に悪い人は、C型肝炎ウイルス感染がない慢性腎臓病の人に比べて末期の腎不全になったり肝硬変になったりするリスクが高くなります。

肝硬変があると門脈という血管の圧力が高くなる病気である門脈圧亢進症になることがあります。門脈圧亢進症があると腎臓の移植を受けることができません。

血液透析では週に3回程度、透析クリニックや病院に通院し、そこで血管に針を刺して血液をきれいにする治療を受けなければなりません。C型肝炎ウイルスは血液を介して感染するウイルスです。透析施設でC型肝炎ウイルスを他の人に移してしまうリスクがあります。

ですから、慢性腎臓病の人のC型肝炎ウイルス感染症の治療はとても大事です。しかし、リバビリンやソホスブビルなど、マヴィレット以前のC型肝炎治療薬の多くは腎臓が悪い人には不向きでした。このため、慢性腎臓病のある方のC型肝炎の治療はとても選択肢が狭いという現実がありました。

腎機能障害があっても使える薬:マヴィレット

マヴィレットは進行した腎機能障害がある方、さらに血液透析を受けている方でも使うことができます。さらに、ジェノタイプを気にしなくても使うことができます。このように、マヴィレットはとても画期的な薬であるといえます。

まとめ

マヴィレットは、2017年9月に承認されたC型肝炎ウイルス感染の治療薬です。全てのジェノタイプのC型ウイルスに対して使うことができ、腎臓が悪い人でも使えます。また、日本人のほとんどを占めるジェノタイプ1型と2型のC型慢性肝炎に対して使う場合、投与期間が8週間で済みます。