はじめに

原発性胆汁性胆管炎という病気があります。この病気は、原因が分からないけれども胆汁の流れが悪くなり、胆管炎を起こします。

胆管炎が続くと最終的に肝硬変になります。そのため、以前には原発性胆汁性胆管炎は、原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました。

原発性胆汁性胆管炎は、以下の3つの側面からとらえると理解しやすいです。それは、自己免疫疾患であること、胆汁の流れが悪くなること、進行すると肝硬変になることです。

この記事を読むとこれらの3つの特徴について理解することができ、原発性胆汁性胆管炎についての知識を深めることができます。

原発性胆汁性胆管炎は自己免疫疾患である

原発性胆汁性胆管炎の原因はよく分かっていません。「原発性」という言葉は、原因がよく分からない病気に対してつけられます。

原発性胆汁性胆管炎は原因不明の病気ですが、自己免疫疾患であることが分かっています。自己免疫疾患では、免疫の働きがおかしくなり、自分のカラダの組織を攻撃してしまいます。

原発性胆汁性胆管炎が自己免疫疾患であると考えられる理由は3つあります。1つ目は抗ミトコンドリア抗体という自己抗体が陽性であること、2つ目はシェーグレン症候群などの他の自己免疫疾患を伴いやすいこと、3つ目は男性に比べて女性に多いことです。自己免疫疾患は全般的に女性に多い病気なのです。

原発性胆汁性胆管炎では胆汁の流れが悪くなる

原発性胆汁性胆管炎では胆汁の流れが悪くなります。胆汁は脂肪を消化するのに必要な液体です。

原発性胆汁性胆管炎で胆汁が上手く消化管の中に流れなくなると、脂肪を分解する働きが悪くなります。このため、脂肪の吸収がしにくくなります。

ビタミンの中には、脂肪に溶けて脂肪と一緒に体に吸収されるものがあります。これを、脂溶性ビタミンといいます。

脂溶性ビタミンの代表にビタミンDがあります。ですから、原発性胆汁性胆管炎では、ビタミンDの吸収が悪くなり、ビタミンD不足になります。

ビタミンDが不足すると、カラダはカルシウムを吸収することができなくなります。カルシウムは小腸でカラダに吸収されますが、このときに大事な役割を果たしているのがビタミンDだからです。

このため、原発性胆汁性胆管炎では、脂肪吸収が低下し、ビタミンDの低下をきたし、骨粗鬆症を引き起こします。

また、原発性胆汁性胆管炎に限らず、胆汁の流れが悪くなると、体の痒みがでます。原発性胆汁性胆管炎で最初にみられる症状も体の痒みです。

胆汁の流れが悪いと、血液中のコレステロールの値も高くなります。脂質異常症の状態になってしまいます。脂質異常症は結果として、目の周りに脂肪が沈着し、眼瞼黄色腫という状態を引き起こすことがあります。

胆汁の流れが悪くなる病態にはいろいろなものがあります。一般にはこのような病態では、胆管造影という胆管に造影剤を流して胆管の形を調べる検査を行うと、胆管が拡張しています。しかし、原発性胆汁性胆管炎では胆汁の流れが悪いにもかかわらず、胆管造影では胆管は拡張しておらず、きれいに見えるのが特徴です。

原発性胆汁性胆管炎は長い経過で肝硬変に至る

原発性胆汁性胆管炎は、昔は原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました。

この病気が発見された頃は、早いタイミングで診断することができませんでした。肝硬変になり、黄疸を始めとするさまざまな症状が出始めてからようやく診断することができました。

ですから、以前はこの病気は見つかったときにはすでに肝硬変にまで進行していたために、原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました。

しかし現在、原発性胆汁性胆管炎は何も自覚症状がないうちに診断することができます。肝硬変にまで病気が進んでしまう前に診断できるようになりました。ですから今ではこの病気は原発性胆汁性胆管炎と呼ばれているのです。

このように胆管炎から肝硬変まで病気が進行してしまう原因は、免疫が異常になり、胆管を攻撃して炎症を引き起こすからです。胆管の炎症は、胆管の組織を顕微鏡で見る検査、すなわち、病理検査を行うと確認することができます。

胆管の組織を顕微鏡でみるためには、組織を採取しなければなりません。このために行うのが肝生検です。

原発性胆汁性胆管炎では、肝生検の病理結果で慢性非化膿性破壊性胆管炎が認められます。

肝硬変まで病状が進むと黄疸が出現します。また、肝臓が硬くなると肝臓にむかう血管の1つである、門脈の中の圧力が高くなります。これを門脈圧亢進症といいます。

まとめ

この記事では、原発性胆汁性胆管炎を理解するための3つのポイントを説明しました。それらは、原発性胆汁性胆管炎が自己免疫疾患であること、胆汁の流れが悪くなる病気であること、進行すると肝硬変に至ることでした。

原発性胆汁性胆管炎は自己免疫疾患であることは、抗ミトコンドリア抗体という自己抗体が陽性になること、シェーグレン症候群などのその他の自己免疫疾患にもなりやすいこと、女性に多い病気であることから考えられます。

原発性胆汁性胆管炎では胆汁の流れが悪くなります。その結果、脂肪の吸収が悪くなります。脂肪と一緒にカラダに吸収されるビタミンDが低下します。そのため、骨粗鬆症になりやすくなります。

原発性胆汁性胆管炎の病状が進行すると、肝硬変になります。その結果、黄疸の症状があらわれたり、門脈圧亢進症を認めるようになります。