原発性胆汁性胆管炎(肝硬変)でも抗ミトコンドリア抗体が陰性のことがある

原発性胆汁性胆管炎の診断に役立つ手がかりの一つに、血液検査で抗ミトコンドリア抗体が陽性になるということがあります。

実際、原発性胆汁性胆管炎の人の9割以上は抗ミトコンドリア抗体が陽性になります。

しかし、逆に言うと、原発性胆汁性胆管炎の診断に至っている人のうち、1割弱の人は抗ミトコンドリア抗体が陽性になりません。

原発性胆汁性胆管炎と診断されて治療を受けている患者さんの中には、「私は抗ミトコンドリア抗体が陽性ではないのに本当に原発性胆汁性胆管炎なのだろうか。」という疑問をもたれていらっしゃる方がいます。

たしかに少し珍しいのですが、原発性胆汁性胆管炎の方のうち、1割弱は抗ミトコンドリア抗体が陰性ですから、必ずしも診断が間違っているとは限らないわけです。

そして、抗ミトコンドリア抗体が陰性の場合の原発性胆汁性胆管炎には、きちんと名前もつけられています。

それは、抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性胆管炎です。

そのままの意味です。

では、どうしてこのようなことにいたるのでしょうか。

原発性胆汁性胆管炎の診断基準をみてみると、この意味がわかります。

原発性胆汁性胆管炎の診断基準

次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する。
①組織学的にCNSDCを認め、検査所見がPBCとして矛盾しないもの※
②AMAが陽性で、組織学的にはCNSDCの所見を認めないが、PBCに矛盾しない(compatible)組織像を示すもの※
③組織学的検索の機会はないが、AMAが陽性で、しかも臨床像(自覚症状、血液・生化学検査所見、合併症を総合したもの)及び経過からPBCと考えられるもの
※検査所見がPBCとして矛盾しない:血液所見で慢性の胆汁うっ滞所見(ALP、γGTP)
※PBCに矛盾しない組織像:胆管消失、肉芽腫など

上の診断基準は、①から③までの3つあります。①から③までのどれか一つに当てはまれば、原発性胆汁性胆管炎の診断となります。

このうち、抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性胆管炎は、①によって診断されたものであると考えることができます。

①の条件は、肝生検の結果、すなわち、病理組織検査の結果でCNSDCを認めて、かつ、血液検査でALP、γ-GTPの上昇が認められた場合に満たされます。

ここに、抗ミトコンドリア抗体陽性という条件は含まれていないのです。

このように、原発性胆汁性胆管炎の方で、抗ミトコンドリア抗体が陰性ということは少し珍しいですけれども、まったく可笑しなことではありません。

原発性胆汁性胆管炎と診断されており治療もされているけれども、血液検査の結果で抗ミトコンドリア抗体が陰性であり、自分の診断を疑問に思っている方もいるかもしれません。

しかし、上記の理由で、中にはそういう方もいらっしゃりますから、必ずしも間違ったことであるとは限らないということになります。