はじめに
この記事では胆管癌について説明しています。
参考サイト
- 胆管がん 基礎知識:[がん情報サービス]
- 胆管癌 – Wikipedia
- 胆嚢がん、胆管がんとはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア
- 胆管癌の治療法、症状、生存率 【がん相談無料-鈴木医院】
- 胆道がん(内科)|がんの種類について|がん研有明病院
- がん診療ガイドライン│胆道がん│診療ガイドライン
胆管とは
- 肝臓でつくられた胆汁を十二指腸へ流す導管
- 肝臓から十二指腸までの胆汁(肝臓でつくられた消化液)の通り道
- 胆管は、肝臓の中から木の枝が幹に向かって集まるように、徐々に合流して太くなっていき、肝臓の外で左と右の胆管が合流して1本になる
- 胆管は肝臓内の細い枝に始まり、次第に合流して2本の太い管(左肝管・右肝管)になり、肝門部で1本に合流し(総肝管・総胆管)、その後膵臓を貫いて十二指腸乳頭部に開口する
- 胆管の脇道には胆汁をためる胆嚢がある
胆管の解剖
- 胆管は肝臓内では枝葉のように分かれている
- 胆管は肝臓外に出る所で1本の総胆管になる
- 胆管は肝臓の中を走る肝内胆管と、肝臓の外に出てから十二指腸までの肝外胆管に分けられる
肝内胆管とは
- 肝臓の中を走る胆管
肝外胆管とは
- 肝臓の外に出てから乳頭部の手前までの胆管
- 肝門部領域胆管と遠位胆管に分類される
肝門部領域胆管とは
- 肝門部から胆のう管の手前までのの胆管
遠位胆管とは
- 胆のう管がつながっているところから乳頭部の手前までの胆管
胆嚢とは
- 肝外胆管の途中で胆汁の一部をためておき濃縮する袋
胆嚢と胆管の関係
- 胆のうは胆のう管で胆管につながり、胆汁を一時的にためておける
胆嚢管とは
- 胆嚢と総胆管をつなぐ短い管
肝門部とは
- 左右の胆管が合流する部位
- 胆管の流れからみた場合では肝臓からの出口
- 肝臓に流れる血管である門脈と肝動脈からみた場合では肝臓への入り口
胆道とは
- 胆管、胆のう、乳頭部を合わせた呼び名
- 肝内外胆管と胆嚢をあわせた呼び名
胆管の周辺の構造

胆管癌とは
- 胆管に発生する悪性腫瘍
- 胆管の上皮(胆管内側の表面をおおう粘膜)から発生する悪性腫瘍
胆管癌の発生部位による分類
- 肝外胆管がん・・・肝管および総胆管に生じた癌。狭義の胆管がん。
- 肝門部領域胆管がん
- 遠位胆管がん
- 肝内胆管がん・・・肝内の胆管に生じた癌。胆管細胞がんと呼ばれることもある。
- 乳頭部癌・・・乳頭部胆管に生じた癌
普通「胆管がん」と呼ばれるのは、主に肝外胆管に発生したがんをさす
肝内胆管がんの扱い
- 取扱い規約では、肝内胆管がん(胆管細胞がん)は肝臓にできたがんとして、肝細胞がんと一緒に原発性肝がんとして取り扱われている
胆道がんとは
- 胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんを合わせて胆道がんと呼ぶ
胆管癌の発育
大きく分けて以下の3つがあります。
- 浸潤性発育
- 胆管内発育
- 種瘤形成性発育
胆管癌の浸潤性発育とは
- 浸潤性発育は胆管がんの中でも肝外胆管がんで最もよくみられます。
- 胆管上皮から発生したがんがまるでインクが紙に染み込むかのように周辺に広がります。
胆管癌の胆管内発育とは
- 主に胆管の内側の空間にだけ向かうのが胆管内発育です。
- きのこのような形に盛り上がるように大きくなります。
胆管癌の種瘤形成性発育とは
- 腫瘍がかたまり(腫瘤)をつくって大きくなります。
肝外胆管癌の発育形式
- 肝外胆管癌は、浸潤性発育と胆管内発育の形式で進行します。
肝内胆管癌(胆管細胞癌)の発育形式
- 肝内胆管癌は主に種瘤形成性発育の形式で進行します。
- 胆管内発育の形式や、まれですが浸潤性発育の形式をとることもあります。
胆管癌の症状
- 黄疸
- 白色便
- 黄疸尿
- かゆみ
- 腹痛・・・みぞおちや右脇腹に痛みが出ます。
- 背部痛
- 腰痛
- 体重減少
- 発熱
- 食欲不振
- 全身倦怠感
胆管癌の見つかり方
- 胆管癌は胆汁の通り道である胆管(直径約1cm)にできるがんである
- 比較的早い段階で胆汁の流れが悪くなり黄疸症状がでて見つかることが多い
- 胆管粘膜から発生した胆管癌の一部はインクが紙にしみこむようにして広がり(浸潤性)大きな塊を作らない
- 初期症状に乏しいため早期発見を困難なことがある
胆管癌のリスク
- 胆管拡張型の膵・胆管合流異常
- 原発性硬化性胆管炎
- 肝内結石症
胆管癌の疫学
- 男性に多い
胆管癌の検査
- 血液検査
- ビリルビン上昇
- ALP上昇
- γ-GTP上昇
- CA19-9上昇
- CEA上昇
- 腹部超音波(エコー)検査
- 肝臓の内部、周辺の腫瘤、胆管の拡張などを調べられます。
- 処置が必要な閉塞があるかどうかの判断に役立ちます。
- CT検査
- MRI検査
- 直接胆道造影
- 胆道鏡
- 超音波内視鏡検査(EUS)
- 管腔内超音波検査(IDUS)
- PET検査
胆管癌の進行
- 胆管癌は進行も早く、かゆみや白色の便、目や皮膚が黄色くなる黄疸が現れれたときには既に進行がんとなっていて手術適応とならないことも少なくない
胆管癌の治療
- 主に外科的手術・放射線療法、化学療法(抗がん剤等)などの治療が柱となる
- 手術が唯一治癒の期待ができる治療
手術
- 胆管がんでは定型術式といったものはなく、がんの広がりに応じた、安全でできるだけ根治的な術式が選択されます。
- 手術規模がかなり大きくなること、肝臓や膵臓(すいぞう)などの生命に極めて重要な臓器に直接処置が加わることで、術後合併症や手術死亡は他のがんの手術より高リスクであるのが現状です。
- 手術後の再発率も決して低くありません。
化学療法
- 標準治療はゲムシタビン+シスプラチン併用療法
- 切除が不可能な胆管がんの患者さんに広く行われている治療
- 多くは外来で、週1回3時間程度かけて点滴し、2週連続投与し、3週目は休薬します。このように3週間を1コースとして治療を繰り返します。
- 治療の適応は患者さんの全身状態や症状などによって検討します。
ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の副作用
- 強い副作用は少ない
- よくみられる副作用として、吐き気、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、骨髄抑制などがあげられます。
- 長期間繰り返し投与することによってシスプラチンによる腎機能障害、難聴、末梢(まっしょう)神経障害(指先のしびれ)などが出てくることがあります。
放射線治療
- 手術が不可能で、遠隔転移のない場合にがんの進行抑制を目的として放射線治療を行う場合があります
- 有効性については十分な検討がされておらず、標準治療ではありません。
- 疼痛(とうつう)を緩和するために行うことがあります。