慢性肝炎

肝臓が長い間悪い人は食道静脈瘤に注意が必要

はじめに

肝臓が悪い方が病院に行くと、胃カメラの検査を勧められることがあります。

これは、肝臓病、特に肝硬変の人は食道静脈瘤ができやすく、そのチェックが大事だからです。

しかし、患者さんからしたら、自分は肝臓は悪いとしても胃が悪くないのだから胃カメラを受ける必要はないはずなのに、どうして胃カメラを受けないといけないのだろうかと不思議に思うでしょう。

この記事では、肝臓病を患う人では食道静脈瘤ができやすく、早期発見・早期治療を行うために胃カメラを定期的に行う必要があるということに関して、詳しく説明します。

肝硬変では食道静脈瘤ができやすい

肝硬変の患者さんは、食道静脈瘤を合併しやすいです。

食道静脈瘤とは、食道の粘膜の下を走っている静脈がぷくぷくとふくれてきて瘤のようになる病気です。

画像でみるのがわかりやすいと思います。

まず、正常な食道を見てみましょう。

次に、食道静脈瘤ができた食道を見てみましょう。

違いは一目瞭然です。

肝硬変の患者さんではこのような食道静脈瘤ができやすいです。

食道静脈瘤はなぜできるのか

肝硬変で食道静脈瘤ができやすい理由は、門脈の圧力が高くなるからです。

門脈とは、消化管と肝臓をつなぐ血管です。

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消化管では栄養分を吸収します。

肝臓では栄養分を代謝します。

この2つの大切な臓器は直接、連絡していたほうがカラダにとって都合がいいです。

そのために存在する特殊な血管が門脈です。

門脈があるおかげで、人体は消化管で吸収した栄養分をたくさん含む血液を、それを処理する肝臓に直接届けることができるのです。

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ところで、肝硬変では肝臓が硬くなります。

そのため、血液が肝臓に戻りにくくなります。

その結果、門脈の圧力が高くなります。これを門脈圧亢進症といいます。

門脈の圧力が高くなると、血液はより流れやすい方に迂回して流れるようになります。

その迂回路となるのが、食道や胃の静脈です。

左が食道静脈瘤、右が胃静脈瘤ができる説明の模式図です。

門脈圧亢進症とは?原因・症状は? | 肝臓検査.com

このように、肝硬変があると、門脈の圧力が高くなるため、食道静脈瘤や胃静脈瘤ができやすいのです。

食道静脈瘤では突然の出血が問題となる

では、食道静脈瘤では、何が問題となるのでしょうか。

食道静脈瘤は、通常、痛くも痒くもありません。

患者さんからしたら、何の症状もない食道静脈瘤があるかどうかを調べるために、辛い検査である胃カメラをするのはためらわれるとことでしょう。

しかし、食道静脈瘤は出血したときに大問題になります。

食道静脈瘤からの出血のことを、食道静脈瘤破裂といいます。

内視鏡画像で実際に食道静脈瘤から出血しているところを見てみましょう。

食道静脈瘤

門脈圧亢進で食道の静脈の圧力も高くなっています。

食道の粘膜が破けて、そこから血液がぴゅーっと吹き出しています。

これは吐血や下血、貧血の原因になります。

食道静脈瘤破裂は死の危険がある

食道静脈瘤破裂では、食道の粘膜から出血します。

出血の勢いはさまざまです。

中には少し出血して、自然に止まる人もいます。

しかし、すごい勢いで出血して、あっという間に貧血が進んで血圧が保てなくなり、心臓が止まってしまう人もいます。

このように、食道静脈瘤破裂では命の危険があります。

また、食道静脈瘤破裂は、それが起こってから治療するのはなかなか大変です。

食道の中が血でいっぱいになっていると、出血している箇所を特定することが難しいことがあるからです。

このような理由で、食道静脈瘤は破裂するまえに予め発見して、破裂を予防するための治療をすることがとても大事です。

食道静脈瘤の早期発見のために胃カメラが有用

食道静脈瘤を早期発見するために最も役立つのが胃カメラです。

胃カメラで食道の粘膜を直接みることで、食道静脈瘤がどの程度できているのか、破裂の危険性は高いのかなどを確認することができます。

とくに、肝硬変がある方で、胃カメラをしたことがない方や、胃カメラをしたことがあってもしばらく検査の間隔があいてしまっている方では、しらないうちに破裂のリスクのある食道静脈瘤ができてしまっているかもしれません。

食道静脈瘤は破裂して出血しない限りは自覚症状には乏しいです。胃カメラをしないと見つけることは難しいです。

肝硬変の人は定期的に胃カメラをするといい

肝硬変の人は門脈圧亢進を伴うことが多いため、食道静脈瘤ができやすいです。

食道静脈瘤は進行すると破裂して、出血するリスクがあります。

食道静脈瘤破裂が怒らない限り、食道静脈瘤は自覚症状などでは気がつくことができません。

ですから、肝硬変のある方は、定期的に胃カメラをすることで、食道静脈瘤を早期に発見することが大事です。

治療が必要な食道静脈瘤を認めた場合には、破裂の前に治療をすることがとても重要です。

まとめ

この記事では、肝臓病を長期に患っている人が胃カメラの検査を定期的にすることが大事である理由を説明しました。

その理由は、食道静脈瘤の早期発見・早期治療につながるからです。

肝臓病の罹病期間が長期にわたると、肝硬変になっている可能性があります。

肝硬変の方は食道静脈瘤ができやすく、食道静脈瘤破裂によって命に危険が及ぶことがあります。

定期的に胃カメラをすることで食道静脈瘤の早期発見・治療につなげることがおすすめです。