B型肝炎ウイルスはB型肝炎を引き起こすウイルスです。
B型肝炎ウイルスは遺伝子の違いにより分類することができます。
具体的には、B型肝炎ウイルスのゲノムの遺伝子配列の違いが8%以上であれば別の遺伝子とし、8%以内であれば同じ遺伝子とします。
B型肝炎ウイルスはこのように分類され、現在、A~Jまでの10個の遺伝子型があるとされています。(IをCの亜型と考えると、9個の遺伝子型があることになります。)
以下ではこれらについて詳しくみていきます。
ジェノタイプA
ジェノタイプAのB型肝炎ウイルスはさらに、ジェノタイプA1~A4のサブジェノタイプに分けられます。
このうち、ジェノタイプA2のB型肝炎ウイルスの感染が広がることが今日の日本で心配されています。
この原因の一つとして、HIVに感染している男性同性愛者の間での性行為感染があります。実際、ジェノタイプA2の急性肝炎のほとんどは男性です。
ジェノタイプA2は欧米型であり、一度感染すると慢性化しやすいです。慢性化する割合は、5~10%程度と言われています。
また、アジア型・アフリカ型のジェノタイプA1のB型肝炎ウイルスも若年者を中心に増えています。
ジェノタイプB
ジェノタイプBのB型肝炎ウイルスはさらに、ジェノタイプB1~B6のサブジェノタイプに分けることができます。
このうち、ジェノタイプB1のB型肝炎ウイルスは日本固有のもので、日本型と言われます。秋田県や沖縄県に多くいます。感染してもほとんどが無症候性キャリアとして一生を終えます。予後が良好なタイプです。
ジェノタイプC
ジェノタイプCのB型肝炎ウイルスには多くのサブジェノタイプが存在します。具体的には、C1~C16までです。
ジェノタイプCのB型肝炎ウイルスに感染している人は病状が進んでいることが多いです。従来型インターフェロンの治療が効きにくいという特徴があります。また、肝細胞癌を引き起こすことが多いため、慎重な経過観察が必要です。
ジェノタイプD
ジェノタイプDのB型肝炎ウイルスは、日本では四国地方に存在します。
ジェノタイプE
ジェノタイプEのB型肝炎ウイルスは、アフリカ中西部で感染が確認されています。サブジェノタイプの報告はありません。
ジェノタイプF
肝癌を合併する割合が高いです。
ジェノタイプG
ほかのジェノタイプとの共感染がほとんどの症例で認められます。
ジェノタイプH
肝臓癌の合併は少ないです。予後が良好と考えられます。
(ジェノタイプI)
ジェノタイプIはジェノタイプCの亜型と考えられています。
ジェノタイプJ
沖縄県の肝臓癌の患者から1例見つかったのみです。
日本に多いジェノタイプ
これらのジェノタイプのうち、日本に多いのは、A、B、C、Dの4つです。
まとめ
B型肝炎ウイルスはジェノタイプA~Jまでの10個に分類されます。さらに、サブジェノタイプに分類できるものもあります。
日本ではジェノタイプA、B、C、Dがほとんどで、この中でもジェノタイプAが最近増えています。