B型肝炎ウイルスマーカーはB型急性肝炎、B型慢性肝炎、B型肝硬変の病態を把握する際に参考にされます。
B型肝炎ウイルスマーカーには具体的にはHBVゲノタイプ、HBV DNA、HBVコア関連抗原などがあります。
今回、これらのB型肝炎ウイルスまーかについて解説します。
HBVゲノタイプ
B型肝炎ウイルスは遺伝子変異を起こすことが多いです。遺伝子変異があるとDNAの塩基配列に違いがでます。この塩基配列の違いによってB型肝炎を分類するのがB型肝炎ウイルスゲノタイプです。
ゲノタイプについては、こちら↓で詳しく解説しています。
B型肝炎ウイルスのジェノタイプ:A、B、C、D、E、F、G、H、I、J
HBV DNA
HBV DNA量が多いと、肝臓癌を起こしやすいです。
HBV DNA量は治療薬によってすぐに下がります。ですから、HBV DNA量は治療効果の判定にはむいていません。
HBs抗原
HBs抗原量は治療効果の判定に役立ちます。
HBV DNA量<2000 IU/mlであっても、HBs抗原量≧1000 IU/ml以上では肝臓癌ができるリスクが高いです。
HBコア関連抗原
HBコア関連抗原は、HBc抗原、HBe抗原、p22cr抗原の3種類の抗原構成タンパクの総称です。
HBコア関連抗原はHBV DNA量や肝組織中のcccDNA量と相関しています。
HBコア関連抗原は、核酸アナログ治療中の再燃の予測や治療中止時期の決定の参考になります。
HBs抗体
HBs抗原に対する抗体がHBs抗体です。
HBs抗体が高い場合、次の2つの可能性があります。
- 過去にB型肝炎ウイルスに感染し、ウイルスが排除された。
- B型肝炎ウイルスのワクチンを接種した。
HBs抗体はB型肝炎ウイルスに感染することから体を守っています。
まとめ
B型肝炎ウイルスマーカーには、HBVゲノタイプ、HBV DNA、HBs抗原、HBコア関連抗原、HBs抗体などがあります。
これらはB型肝炎ウイルスの病勢や感染の病態の評価に役立ちます。