急性肝炎

疲れた肝臓を回復させることはできるのか

疲れたサラリーマンさん”]最近、体がだるいし、疲れやすいんです。きっと、肝臓が弱っているに違いないと考えています。肝臓を回復させるにはどうしたらいいでしょうか。

肝臓を回復させる話の前に、確認しなければならないことがあります。そもそも、その体のだるさや疲れやすさは肝臓が弱っていることが原因で間違いないのですか?

疲れたサラリーマンさん”]えっ?てっきり肝臓からきている症状だと思っていたのですが、違うんですか?

金子吉弘”]違うと思います。たしかに、肝機能が低下したり、肝炎がひどい状態では、体のだるさや疲れやすさなどがでます。食欲がでなかったり、吐き気が続いたりすることもあります。でも、肝臓が悪いことが原因でそのような症状がでるのは、よほど病状がよくないときですよ。

疲れたサラリーマンさん”]私の場合は肝臓はそんなに悪くないということですか?

正確には、血液検査をしてみて、肝臓の数値をみてみないと分からないです。ですが、一般的な疲れやだるさの場合、肝臓は関係なくて、ただ単に疲れたりだるかったりするケースが多いと思います。実際、私の外来にも、最近疲れやすくなったとか、体のだるさがとれないという症状があって、肝臓が悪いんじゃないかと心配して検査を希望される方がたくさんいらっしゃいますが、そのようにして来院された方で実際、肝臓が悪かったという方はかなり少ないです。0ではないですけど。

体の疲れやだるさは肝臓からくることが多いと思っていましたが、そうでもないんですね。

たしかに、肝臓が悪いと疲れやだるさはでるんです。黄疸がでれば食欲もなくなりますし、気持ち悪くもなります。ですが、逆は必ずしもそうではないということです。疲れやだるさがあっても、必ずしも肝臓が悪いわけではないんです。

では、疲れやだるさ、食欲不振などが続いた場合、どうしたらいいですか。肝臓をみてもらう必要はないんでしょうか。

の判断は難しいです。急性肝炎で肝機能障害が強くでている場合や黄疸がでている場合、肝不全に至っている場合などは、だるさや疲れやすさ、しんどさがでます。この場合には入院して治療する必要があります。ですから、医療機関を受診してもらいたいです。また、知らないうちに肝硬変になってしまっている方もいて、そのような方も肝機能低下からだるさや疲れやすさなどがでます。肝硬変も通院が必要な病気ですから、この場合もしっかりと医療機関を受診してもらいたいです。

なかなか難しいですね。普段と違う疲れやだるさが続いたり、どんどん悪くなったときは病院でみてもらった方がよさそうですね。

それが一番いいでしょうね。それで、肝臓は回復するのかという話についてですが、そもそも一般的な疲れやだるさを感じているだけのケースでは、血液検査をしても肝機能の数値は正常です。この場合は、そもそも肝臓が回復するかどうかという話ですらなく、肝臓は傷んでいないと考えて大丈夫です。

そうなんですね。では、急性肝炎や肝硬変の症状としてだるさや体の疲れがでている場合は、肝臓は回復するのでしょうか。

急性肝炎は一時的に肝臓に強い炎症が起きますが、時間がたつと炎症がおさまることが多いです。多くの場合は一過性で、慢性化しません。一部慢性肝炎になるものもありますが、多くはそのときだけの問題で落ち着きます。この場合は肝臓は一時的に強い炎症で悲鳴をあげますが、その後に回復して症状もなくなります。肝硬変の場合は、肝臓は元通りには戻りません。長い時間をかけて肝硬変は完成します。一度肝硬変になると、肝臓は元通りにはもどりません。

なるほど。一般的な疲れやだるさは肝臓と関係ないことが多くて、肝臓由来のだるさや疲れやすさは急性肝炎や肝硬変によるものの可能性がある。そして、急性肝炎の多くは一過性で自然に回復するけれども、肝硬変になった肝臓は回復しないということですね。

そうです。そのとおりです。