はじめに
肝臓はとても大きい臓器です。また、出入りする脈管も多く、複雑です。
肝臓に病気、たとえば癌ができたときに、とくに肝臓のどこに腫瘍ができたのかを指し示すことができるために、肝臓には名前がついています。
肝臓病学を学ぶにあたり、まず、肝臓の解剖を理解する必要があります。
その中でもとくに、肝臓を右側と左側、すわなち、右葉と左葉に分けるのは肝臓の解剖の理解の第一歩です。
この記事では肝臓を右葉と左葉に分ける方法について解説します。

肝臓の右葉と左葉
肝臓を右葉と左葉に分ける方法は、2つあります。
一つは、解剖学的右葉と解剖学的左葉に分ける仕方です。
もう一つは、機能的右葉と機能的左葉に分ける仕方です。
解剖学的右葉と解剖学的左葉
肝臓のやや左よりに肝鎌状間膜という膜があります。
これを境にして右側を右葉、左側を左葉と分ける仕方が解剖学的な右葉と左葉の分け方です。
そして、このように分けられた右葉を解剖学的右葉、左葉を解剖学的左葉といいます。
このイラストの真ん中の膜が肝鎌状間膜です。
次に、もう少しリアルな画像をのせておきます。
さらに、肝臓のいろいろな部位の詳しい名前がついた画像ものせておきます。
最後に、手術でお腹を開いたときにみえる実際の肝鎌状間膜の写真を載せておきます。
ここまでで説明したのが解剖学的右葉・左葉です。
次に、機能的右葉と機能的左葉について説明します。
機能的右葉と機能的左葉
解剖学的右葉と解剖学的左葉は肝鎌状間膜によって分けられていました。
一方、肝臓の機能的右葉と機能的左葉は、Cantlie線によって分けられます。
Cantlie線は、カントリー線と読みます。
Cantlie線とは、胆嚢窩と下大静脈を結ぶ線です。これは実際にそういう線があって目に見えるわけではありません。
Cantlie線は、仮想の線ということです。
具体的には、次の画像の赤い点線がCantlie線です。
肝臓の上に顔をだしている空色の棒のようなものが下大静脈です。
肝臓の下に顔をだしている緑色の丸っこいものが胆嚢です。
胆嚢窩とは、胆嚢がおさまっているくぼみのことです。
上の図のように、下大静脈と胆嚢を結ぶ仮想の線がCantlie線です。
このCantlie線を境に肝臓は機能的右葉と機能的左葉に分けられます。
もう一つ画像をのせておきます。
下の画像だと、黒の実践がCantlie線です。
どちらの画像でも、Cantlie線が下大静脈と胆嚢を結んで引かれています。
もう一つ、似たようなものになりますが、参考画像を載せておきます。
いろいろみることでイメージがつかめると思います。
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引用:肝区域を極める
まとめ
この記事では肝臓を右葉と左葉に分ける方法を説明しました。
肝臓は解剖学的には肝鎌状間膜で右葉と左葉に分けられます。
肝臓は機能的にはCantlie線で右葉と左葉に分けられます。
Cantlie線は、下大静脈と胆嚢を結ぶ仮想の線です。
以下の記事では肝臓を右葉と左葉に分けたあと、さらにそれらを2つに分けて区域にする仕方について説明しています。

参考にしていただけましたら幸いです。