原発性胆汁性胆管炎の方の予後は、ウルソデオキシコール酸による治療がなされるようになってから、劇的に改善しました。
初期の段階で治療をスタートした原発性胆汁性胆管炎の患者さんのほとんどは、通常の方と同程度の寿命になります。
ウルソデオキシコール酸で治療された原発性胆汁性胆管炎の患者さんを対象とした研究があります。それによると、早期にあまり進行していない状態で診断され、かつ、ウルソデオキシコール酸による治療がよく効いた原発性胆汁性胆管炎の患者さんの予後はとてもよかったのです。
それに対して、進行した状態でみつかった原発性胆汁性胆管炎の患者さんやウルソデオキシコール酸による治療があまり効かなかった原発性胆汁性胆管炎の患者さんの予後は、そうでない人に比べると悪いという結果でした。
では、具体的に原発性胆汁性胆管炎の人の予後がどれくらいであるかを知ることはできるのでしょうか。
実は、原発性胆汁性胆管炎では、有名な2つの予測モデルがあります。
GLOBEスコアとUK-PBCスコアです。
GLOBEスコア
GLOBEスコアでは、5つの項目で原発性胆汁性胆管炎の患者さんの予後を予測します。
5つのスコアとは、具体的には、
- ビリルビン
- アルブミン
- ALP
- 血小板
- 治療開始時の年齢
の5つです。
ビリルビン、アルブミン、ALP、血小板の4つの項目については、ウルソデオキシコール酸による治療を開始してから1年たったときの血液検査の値で評価します。
このGLOBEスコアでは、肝移植をしないで生きることができる期間を予測することができます。
下にGLOBEスコア計算することができるサイトのリンクを貼っておきます。
UK-PBCスコア
UK-PBCスコアは、ウルソデオキシコール酸を内服し始めてから1年たった時点での血液検査におけるALP、アミノトランスフェラーゼ、ビリルビンの値とアルブミンと血小板のベースラインの値で計算します。
UK-PBCスコアでは、肝移植のリスクと肝関連死を予測します。
原発性胆汁性胆管炎の予後が悪いと予想される要因
原発性胆汁性胆管炎の予後が悪いと予想される要因には次のようなものがあります。
- 原発性胆汁性胆管炎と診断されたとき、すでに何かしらの症状があった。
- ALPの値とビリルビンの値が高い
- 肝生検の結果、病理組織学的に病気が進行した状態であった
- 抗核抗体が陽性
- 喫煙している
- 遺伝子多型がある
診断時の症状の有無が予後に関係する
原発性胆汁性胆管炎と診断されたときに症状がない人は、何らかの症状(たとえば、疲れなど)がある人と比べて予後がいいことがわかっています。
合併症の有無が予後に関連する
原発性胆汁性胆管炎は、他の病気を合併することがあります。
この合併症があるかないかも原発性胆汁性胆管炎の患者さんの予後と関係があります。
当然ですが、合併症がない方が予後がいいことが知られています。
具体的には、甲状腺炎、シェーグレン症候群、強皮症などの合併症がある場合、原発性胆汁性胆管炎に典型的な症状がないとしても、予後が悪くなることが知られています。