原発性硬化性胆管炎とは
肝臓は肝細胞がたくさん集まってできています。肝細胞では胆汁が作られています。
胆汁は肝臓の中や外に通っている胆管という管を通って胆のうに蓄えられます。
食事をするとその刺激に反応して胆のうが収縮し、胆汁が十二指腸に分泌されます。

原発性硬化性胆管炎では、この肝臓の中や外の胆管に炎症が起こります。その結果、胆管が硬くなったり狭くなったりして胆汁が流れにくくなります。ひどい場合には胆管が詰まってしまします。
原発性硬化性胆管炎は、病状が進行すると肝硬変に至ります。
原発性硬化性胆管炎の検査
血液検査
原発性硬化性胆管炎では、血液検査でアルカリフォスファターゼやビリルビンの値が高くなります。
自己抗体
原発性硬化性胆管炎では、P-ANCAという自己抗体が陽性になりますが、その頻度は高くありません。この値が陽性であれば原発性硬化性胆管炎であるといえるような自己抗体は、原発性硬化性胆管炎では存在しません。ですから、血液検査では原発性硬化性胆管炎を診断することはできません。
画像検査
原発性硬化性胆管炎は、胆管の状態を調べることで診断することができます。具体的には内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)や磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP)などで診断します。
MRCPとERCPを比べた場合、MRCPの方が負担が少ないので、MRCPを先に行います。
原発性硬化性胆管炎に合併しやすい病気
原発性硬化性胆管炎は、潰瘍性大腸炎を合併しやすいです。
原発性硬化性胆管炎の治療
飲み薬
原発性硬化性胆管炎の治療に役立つ飲み薬には、ウルソデオキシコール酸やベザフィブラートなどがあります。これらの薬は、原発性胆汁性胆管炎で上昇しているアルカリフォスファターゼの値を下げる働きをもっています。
ERCP
原発性硬化性胆管炎の病状が進行し、胆管が実際に狭くなってしまった場合、内視鏡を使って治療をします。内視鏡の先を十二指腸の中にまで進めますと、そこには胆管の出口があります。胆管の出口から細い器具を胆管の中に挿入して、細くなった通り道のところで風船を膨らませ、狭い管を広げます。
胆管が狭くなって胆汁の流れが悪くなると、そこには小さな石や泥状のものが作られて、それによってさらに胆汁の流れが悪くなるという悪循環になることがあります。この場合も、内視鏡を使い石や泥を取り除くことで胆汁の流れをよくする治療を行います。
肝移植
ウルソデオキシコール酸やフィブラートなどを飲む、狭くなった胆管を内視鏡を使って広げる、たまった石や泥を内視鏡で取り除くなどを行っても、かなり進行した原発性硬化性胆管炎はよくなりません。この場合、最後の手段となるのが肝移植です。